食品廃棄物を含めて副産物・廃棄物の再資源化技術は非常に重要である.副産物の再資源化のための多くの試みが実施されているが, ほとんどの試みは, 再資源化処理のコストと処理素材の品質などから実用化されていない.再資源化処理として生分解性素材への変換が検討されているが, やはりコストの面と品質 (特に耐水性) の面が課題となっている.副産物からの生分解性素材への再資源化について, 低コスト化と耐水性付与した素材製造のために, 水不溶性タンパクの1種であるゼインを含むコーングルテンミールを主原料として射出成形処理を用いて固形成形物を製造することを試みた.この開発は昭和産業, 日本製鋼所, 食品総合研究所の3機関で共同で実施された.処理方法は材料をエクストルーダでペレット化し, 射出成形装置のスクリュ部位で溶融し, 金型内に射出するものである.水不溶性成分の多いコーングルテンミールを材料とし, また射出成形機を改良することで, 射出成形処理の持つ低処理コストや成形物の形状の自由度などの利点を生かして, 低コストで耐水性を有する育苗ポットの開発に成功した.現在, 幾つかの用途への実用化に向けた成形物の品質改善を検討している.