Fickの拡散法則は広く実用に使われているが, 孤立系で平衡時に均一含水率分布になるという意味で均一相である系にしか適用できない.デンプン食品はたとえ均一な素材を原料としても加熱加工・調理によって食品物体内が多相系に転じる場合がある.このような多相系では, 水の活量が含水率に対して線形近似できる限りにおいて, その含水率範囲内で適宜基準含水率を定義して, 含水率を基準含水率で除した相対含水率を用いることでFickの拡散法則を多相系に拡張できることを示した.