遠赤外線加熱を付加した小型の過熱水蒸気処理試験装置を試作し, 過熱水蒸気に遠赤外線加熱を併用した場合の伝熱促進効果および熱効率を過熱水蒸気単独処理の場合と比較した.3種類の過熱水蒸気温度120, 150, 200℃に遠赤外線ヒータ250, 300, 350, 400℃を組み合わせて加熱処理し, 水で十分に濡れた試料を用いた恒率乾燥速度から伝熱速度を求めた. 過熱水蒸気処理に遠赤外線を付加した場合, 遠赤外線ヒータに加える熱流が過熱水蒸気生成熱流の1/5程度で伝熱速度は過熱水蒸気単独処理の2倍以上となった.過熱水蒸気の温度によっては, 400℃の遠赤外線加熱を併用した場合の熱効率は, 過熱水蒸気単独処理の約2~4倍以上になった.蒸気量の少ない低温 (120℃程度) の過熱水蒸気に高温の遠赤外線加熱 (400℃程度) を併用すれば, 少ない熱流で遠赤外線加熱の付加による高い伝熱促進効果が得られ熱効率も向上した.さらに, 遠赤外線加熱を併用した過熱水蒸気処理では, 装置立ち上げ時間の大幅な短縮や低熱流での加熱処理庫内温度の維持が可能であった.