イランではバッチ式の乾燥機により主要な穀物である籾水分を9%まで乾燥する.香り米籾の最終水分が, 約12% (標準水分籾) と約9% (低水分籾) になるように籾温度30, 40, 50, 60℃の4つの処理区で試料籾を乾燥処理し, 得られた籾, 玄米, 精米の物理的性質および炊飯特性を調べた.低水分籾の歩留まりの結果として, 対照処理区 (乾燥処理条件: 温度25℃, 相対湿度60%) の籾と比べて, 60℃の乾燥処理区では歩留まりが20%低く, 30℃と40℃の乾燥処理区では4%高かった.炊飯特性試験における加熱吸水率と膨張容積比は, 乾燥処理の温度が高くなると低下した.低水分籾では, 温度が40℃もしくはそれ以下の乾燥処理の場合, 高い歩留まりを示すことが明らかになった.加えて, 温度 (50-60℃) の乾燥処理は, 胴割れ粒, 乾燥エネルギを増加させ, 歩留まり, 加熱吸水率および膨張容積比を低下させる原因となる.高い歩留まりの維持と炊飯特性試験の指標が, 乾燥プロセス最適化の目安となり, 香り米を低水分まで40℃以下の温度で乾燥処理する条件によってもたらされる.物理的性質と炊飯特性試験の結果から, 40℃以上の高い温度での乾燥処理は, 日本型香り米の品質劣化をもたらす.