近年, 動植物油脂から製造されるバイオディーゼル燃料 (BDF) は, 軽油代替燃料として有望視されている.BDFの製造には, アルカリ触媒によるアルコリシス反応を用いた植物油からの脂肪酸メチルエステル (FAME) の生成が広く用いられている.しかしながら, このプロセスでは, 生成物の精製と触媒の回収に大きな費用を要する.本研究においては, 過熱メタノール蒸気を連続的に油相中に吹き込むことにより, 触媒を一切用いることなくFAMEを生成する新しいリアクタを開発した.開発したリアクタを用いて, 反応温度, メタノール供給速度, 操作圧力, 撹拌速度および初期の油相体積が反応速度に及ぼす影響を評価した.FAMEの流出速度は, 反応温度290℃において最大となり, メタノール供給速度および初期の油相体積とともに増大した.また, 反応圧力および撹拌速度の増大は, FAMEの流出速度を減少させた.各反応条件の影響を評価することにより, リアクタの性能向上に向けての有用な指針を得ることができた.