工業用電子レンジにより食品の加熱殺菌を行う場合, 加熱庫内に配置した食品に加熱ムラが生じ, 加熱不足における殺菌不良や過加熱による食品の劣化が問題となっている. 本研究では, まず基礎検討として自由空間に配置した食品に円偏波を照射した場合の食品内部の吸収電力分布を算出し, 直線偏波を用いた場合の吸収電力分布と比較しすることにより, 円偏波の有効性について議論した. 次に実用を考慮し, 円偏波発生器および円筒型の加熱庫を用いた場合の吸収電力分布について検討した.さらに連続加熱のための食品移動用方形導波管を円筒型の筐体に接続したモデルにおける食品内部の吸収電力分布についても検討を行った. その結果, 基礎検討から円偏波を用いることで直線偏波と比較し局所加熱が抑制され, 約43%の加熱ムラが低減可能であり, より均一な加熱を実現できることを定量的に確認した.そして実用を考慮し, 筐体を用いた場合においても基礎検討同様円偏波が均一加熱に有効であることを明らかにした.