マイクロ波加熱により食品の加熱殺菌を行う場合, 加熱庫内に配置した食品に加熱ムラが生じ, 加熱不足における殺菌不良や過加熱による食品の劣化が問題となっている. 本論文では, 先に報告している蒸留水の配置による均一加熱手法を応用し, 誘電体を食品の周囲へ配置することによる均一加熱手法を提案した.本手法を用いることで, 乾燥下における加熱殺菌処理が可能となる.また, 材料の誘電率および厚みを変化させ, 食品内部における吸収電力分布の制御が可能となる. 我々は, 食品内部における吸収電力及びさらに周囲の誘電体内部における損失電力に着目し, 本手法の評価を行った.その結果, 食品周囲へ高誘電率材料を配置することにより均一な加熱が可能であることを示した.しかし, 配置する誘電体の複素比誘電率を上昇させた場合, 誘電体内部における損失電力が増加することから加熱効率が低下することも確認できた.本手法においては, 均一加熱と加熱効率の間にトレードオフの関係があり, 配置する誘電体の複素比誘電率および厚みに最適値が存在すると考えられる.