暖地ビートの処理方式については,その栽培規模および品質の特性上,ドライコセット法が有利な方法と考えられるので,原料ビートの薬品処理,乾燥方法,抽出糖汁の製造などの面から予備実験を行つた。その結果を要約すると,第11表に示したようであつた。 すなわち水分10%前後のドライ・コセットを約23%前後の歩留りで製造した。この際一部の蔗糖は分解して還元糖が増加した。しかし生ビートを3カ月貯蔵するよりも,収穫直後乾燥する方が,糖分損失は少なく有利なものと考えられる。糖汁製造試験の結果によれば,ドラフトは生処理の場合にくらべ,60~80%であつて,ドライ・コセットよりの抽出糖汁は生処理の滲出汁にくらべ純糖率が高く,着色度や濁度も少なく,窒素の溶出量も少ない傾向を示したので,製糖上有利であろうという見通しを得た。 終りに,本研究に種々御配慮をいただいている。農業技術協会の秋元真次郎氏,山崎守正氏および試料のビートを提供された,東京数育大学農学部祖師ケ谷農場と,岡山県農業試験場に,また,TC型試験用乾燥機を貸与された日本機工株式会社に,謹んで感謝の意を表する。