今回は,ドイツ(旧西ドイツ)と西ヨーロッパ諸国の馬産の現状を説明する(図1参照)。 西ヨーロッパ諸国のウマの飼育頭数は,1,947,000頭(1982年)であり,他の大陸より少ない。サラブレット種の生産頭数は,英国,フランス,アイルランド,ドイツ,ならびにイタリアが多くを占めている(生産頭数は18,489頭である,1990年)。トロッター競馬は,英国とアイルランドを除いた他の諸国では一般的な娯楽である。トロッター種の生産は,フランス,オランダ,ならびにスコットランド等の国々で行なわれている。 西ドイツでは,1988年に375,000頭が飼育されている。サラブレット種は,1990年に2,408頭が飼育され,49競馬場で2,384回競馬が開催されている。トロッター種は,西ドイツで大変人気があり,1990年には16競馬場で9,130回競馬が開催され,3,535頭が出走した。ドイツで最も多く飼育されているのは,ドイツ乗用種で1990年に53,234頭が登録され,種雄馬2,072頭が供用されている。地域に密着した種付け,ならびに計画的な交配の方法により,ドイツ乗用種の質的改良が計られている。ポニー種は,子供の乗用と情操教育に広く利用されている。輓用馬(重種)は,ドイツでの飼養頭数は少ない。