失認症のうち半側無視,Gerstmann 症候群および視覚失認例のアクティビティ上の問題と,治療介入の方法について検討した。半側無視例はあらゆるアクティビティで左側を無視する。無視行動には外界情報への不注意と内的表象における無視の両メカニズムが結合して関与している。左上肢を左端に置いたり,他動的に動かしたりするなど,障害された右半球の活性化が有用であった。Gerstmann 症候群の症例では「鋏を正しく紙に当てられない」,「1 cmずつ線を引くことができない」など道具の使用,空間・順序・数量がかかわる多くのアクティビティで重篤な障害を示した。視覚失認例の職業および家庭生活の対処方法について調査した。「倉庫内で各部品をコード番号順に並べる」,「果物の鮮度を触って確かめる」など触覚,聴覚,環境整備による代償的な対応が中心であった。