地域在住高齢者 160名を対象に, MMSE自由書字を, 文字数, 漢字・仮名における文字形態の誤り, 文字運用に焦点をあて CDR別に分析した。CDR 0 は健常, CDR 0.5は最軽度アルツハイマー病, CDR 1+はアルツハイマー病である。その結果, 文字数は CDRが重症化するにしたがい減少傾向を示し, 文字形態は健常においても 30%に漢字もしくは仮名の誤りを生じていたが, CDR 0.5群もしくは 1+群において仮名を誤る対象者が多かった。文字運用は, 名詞においては CDR 0群と 0.5群では誤りに差はないものの CDR 1+群で誤りが多く, 送り仮名では CDR 0.5群で誤りが多くみられた。文字運用に注目した場合, 漢字と仮名で構成された送り仮名 (綴り) の誤りは最軽度アルツハイマー病という病的過程を反映している可能性が示唆された。