外傷性脳損傷を中心とする高次脳機能障害者の問題発生の多くは,医療を終え地域·社会生活に移行した時点がはじまりとされている。すなわち,記憶·注意·遂行機能障害,社会行動障害などの機能障害によって,就労および在宅生活の維持や他者との関係性を良好に保持できず,いわゆるドロップアウトしてしまうためである。こうした問題に対して,医療から福祉の対応に連続性をもたせ,リハビリテーション (以下「リハビリ」という) の枠を医学的なものに限定せず,職業的リハビリ,社会的リハビリ,認知的リハビリを包括的に提供するシステム構築を目的に「三重モデル」を創設した。三重モデルでは,早期から支援コーディネーターを設置し,生活·職業上などの総合的な相談支援および救命から地域·社会生活に至る連続したケアを提供して一定の成果を得ている。本稿ではこうした新たな医療·福祉連携モデルである三重モデルについて紹介する。