“もの忘れ外来”を受診した在宅高齢者に対し,言語流暢性課題 (WFT) を施行し,その意義について検討した。対象は 65 歳以上の高齢者 276 名であった。WFT は意味カテゴリー流暢性課題 (CFT) と文字流暢性課題 (LFT) を行った。認知症と診断できたものは 170 名で,アルツハイマー病 88 名,前頭側頭型認知症 21 名,レビー小体型認知症 5 名,血管性認知症 56 名であった。Mild cognitive impairment (MCI) は 39名であった。CFT,LFTの成績は,健常群,MCI 群,認知症群の順に高く,それぞれの群間に明らかな差を認めた。しかし,認知症をきたす疾患群の間で差は認めなかった。CFT の再生語数はいずれも LFT の再生語数より多かった。以上より,WFT は認知症を見出すために有用であるが,その成績で認知症のタイプを鑑別することは難しいものと思われた。