「文構成テスト」は自然な会話場面での話し言葉の特徴を備えた自発話を被検者から引き出し,量的質的に評価することをねらいとして開発された。本検査では,意味的関連度を考慮して組み合わせた 2 つの語を文字で提示し,発話を引き出す刺激 (33 組 66 語,いずれも高親密度語) としている。施行法は簡単で,これらの対の語を使って自由に文を作り,話すよう被検者に求めるのである。今回は健常者120 名に施行し,本検査の妥当性を検証した。また,健常群の反応をもとに,談話文法的特徴の強い日本語 (中島1987) を評価し採点する際の基準の明確化を図った。 結果,健常群の得点分布(平均 30.4 点,SD = 1.5) は正規分布の左側部分に近似した。産生された文には各被検者の個性を反映した多彩な語彙や文型が用いられていた。自発話の採点基準の明確化は,「文脈から意味が推測でき」かつ「一定数の健常者でみられる」省略·不定表現を正答に加えることで可能だった。