言語野近傍脳腫瘍に対する術中覚醒下脳機能マッピングについて,周術期神経心理学的評価と局在ごとの課題選択,陽性所見について検討した。対象は2002 年11 月~2005 年8 月に本院にて覚醒下言語野マッピングを行った 11 症例 12 病変である。方法 : 術中言語課題の検討と神経症状の経時的変動を把握するために標準失語症検査,記憶検査として Rey's AVLT,ROCFT,遂行機能検査として KWCST,非言語性知能検査として RCPM を実施した。結果 : 全症例とも術後 1 ヵ月時点で新規脱落症状を認めなかった。神経症状の軽微な症例についても周術期の高次脳機能の推移を把握することが可能であり,術中課題のプランニングに有効であった。術中タスクにおいては(1)陽性所見は術前の神経症状によって相違を示す,(2)皮質マッピングにおいては復唱を課題を加えることが重要,(3)刺激のタイミングにより陽性所見が変化することが明らかとなった。