本研究の目的は,高次脳機能障害者における受傷後の生活状況と社会的行動障害との関連について検討することであった。外傷性脳損傷者404 名を対象に,その家族に回答を求めた。現在の生活状況(一般就労,就学・福祉的就労,在宅)と「社会適応障害調査票」によって得られた得点との関連を共分散分析によって検討した結果,就学・福祉的就労,一般就労などの社会活動に従事している者のほうが,在宅で過ごす者よりも社会適応障害合計得点が高い傾向にあり,障害が顕在化していることが示された。そして特に「意思疎通の困難さ」において一般就労群のほうが在宅群よりも得点が高く,困難さが顕在化していることが示された。