さまざまな高次脳機能障害者に対する作業療法では,生活障害の中でも特に道具使用や遂行過程に介入する。本稿ではGrafman の道具使用モデルに従い,障害レベルに応じた介入法を検討した。知覚システムの障害である半側無視に対しては,道具使用に際して右空間の刺激を縮減し,動作空間も限定し,左手を使用することが有効である。道具使用の手続きなどの知識表象ネットワークの障害であるAction disorganization syndrome に対しては,対象の制限,課題の細分化および動作表出を促す環境の設定を行う。動作システムの障害である失行症に対しては,具体的な動作エラーに即した介入を行うことが有効だと考えられる。