近年,摂食・嚥下リハビリテーションにおいて,言語聴覚士(ST)が果たすべき役割はますます大きくなっている。まず,従来取り組みが困難とされてきた高次脳機能障害患者,さらに,意識障害や認知症などを持つ患者の摂食・嚥下に関連する問題点を列挙した。 次に,病院などにおけるこれらの問題の実態について,協力の得られた施設のデータを急性期,回復期などに分けて紹介し,それぞれ問題点が異なることを明らかにした。また,Wallenberg 症候群の3 症例を提示し,認知機能の障害が嚥下訓練を進める上でも,帰結においても大きな影響を与える可能性のあることを示した。最後に,高次脳機能障害患者などにみられる摂食・嚥下機能に関連した代表的な症状を提示し,それらへの対応法について解説を加えた。