単光子放出断層撮像法 (single photon emission computed tomography : SPECT) と陽電子放出断層撮像法 (positron emission tomography : PET) の原理と応用について,自験例を中心に述べた。SPECT は脳血流が測定でき,臨床場面で広く用いられ,神経心理学的症候や認知症を呈した患者の診断に力を発揮している。PET は脳血流と代謝の測定が可能で,より基礎的な研究に用いられ,脳賦活化実験や神経伝達機能の画像化に利用されている。近年,主にアルツハイマー病の診断に頻用される画像統計処理法は,明瞭・明快な画像を得られる反面,偽陽性・偽陰性を生み出す恐れもある。SPECT や PET の所見を活かすためには,病態の正確な把握と解釈が評価者に求められる。