低酸素脳症後に知覚型視覚性失認と意味記憶障害を呈した患者にリハビリテーションを行った。1) 視覚弁別探索訓練,2) 彩色画マッチング訓練,3) 物品の視覚特徴を列挙した後同定を行う「誤りなし学習」訓練を順次施行した。訓練後,視覚弁別探索は速く秩序だったものになり,フォローアップまで維持された。彩色画のマッチングは改善し,別の彩色画にも般化,フォローアップまで維持された。訓練に用いた物品の同定は向上し,一部はフォローアップまで維持された。一方,訓練に用いなかった物品の視覚同定は改善せず,般化はみられなかった。しかし,訓練後の実生活で特徴列挙後の同定が習慣となり,十分な繰り返しの後には,個々の物品の同定は向上する様子がみられた。以上,生活に重要な物品を選んで行うならば,その物品に限っては訓練の有効性があることが示唆された。