我々は言語障害者の自発話能力を簡便に測定する検査法―「文構成テスト」を作成した。高橋ら (2007) では第一段階として本検査を健常者 120 名に実施し, 本検査が自然な会話場面の話し言葉の特徴を備えた自発話を引き出し, 定量的定性的な評価を可能にすることが示された。今回は失語症者 150 名に本検査を実施し, (1) 量的質的な評価, (2) 既存標準検査との関連妥当性, (3) 健常-失語群間の判別可能性, について検討した。その結果, (1) 失語群の正答率は 12.12 %から 90.91 %であり, 健常者と同様に各対象者の個性を反映した語彙や文型が産生された。本検査の結果は失語症重症度を反映し, 誤反応のタイプと量は意味的誤りを除いて, 失語症のタイプと重症度に対応していた。 (2) 本検査成績と SLTA 発話課題成績とは r=0.639 (p<0.01) の相関があり, 基準関連妥当性が確認された。 (3) 健常群と失語群とは正答率と施行に要した時間を説明変数として判別可能であった。