遂行機能障害とは,前頭前野の障害により,後部脳における認知機能は保たれているものの,それらを動員して課題の解決にあたることが困難な病態であると理解される。それによりプランニングの障害,戦略の適用ができない,自己制御の障害,抑制が利かない,ゴール志向的行動が困難,行動の開始が困難,さらに自己洞察ができない,という一連の行動の障害が生じる。認知リハビリテーションの理論的枠組みとして,Normann と Shallice による情報処理モデルにより,不適切なスキーマを抑制し最適なスキーマが選択される思考・行動スキーマの変更の手法が支持されている。さらに Cicerone によるsystematic review では問題解決訓練が推奨されており,同様にゴールマネジメント訓練の有用性が支持されている。