本稿は, 2011 年 11 月 12 日に行われた第35 回日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会) 第 35 回大会シンポジウムにおける発表を基に, 認知症の非薬物アプローチの先行研究文献に関して述べることを目的とした。先ず, アルツハイマー型認知症の非薬物療法ガイドライン (2005) の成果を, 次に 2009 年に出版された『くすりに頼らない認知症治療』の内容を紹介した。さらに, 2008 年 1 月から 2011 年 10 月までの文献検索結果に基づいて, 非薬物アプローチの効果の検証を目的とした文献を整理してリストを提示した。アルツハイマー型認知症に関する薬物療法は発展してきているが, 認知症に対する非薬物的アプローチは重要である。非薬物療法のエビデンスに基づく効果の検証は未だ不十分であり, 今後一層の成果の蓄積が望まれる。