本研究は, 認知されたリーダーのパーソナリティと部下のモラールの関係をリーダーシップ行動とモラールのそれとの比較において検討した。本研究では, またリーダーシップ行動とリーダーのパーソナリティの関連性も検討された。調査対象者は, 3つの企業の350の一般作業員である。彼らは, リーダーのパーソナリティ, 自らのモラール, リーダーシップ行動, 自らの職務特性の評定をした。しかしながらデータの分析は, 個人単位ではなく, 作業集団ごとになされた。集団の数は101である。 得られた結果は, 次のようなものである。 1. リーダーの配慮行動は,「個人的親しみやすさ」のパーソナリティ次元と有意な相関を示した。 2.リーダーの構造づくり行動は,「社会的望ましさ」および「力本性」の次元と有意な相関を示した。 3.リーダーシップ行動とリーダーのパーソナリティ次元との関連性に職務特性, すなわち自律性と多様性, がモデレーター効果を示すことが明らかにされた。 4. リーダーシップ行動は, リーダーのパーソナリティ次元よりも部下のモラールに強い影響力をもっていることが示された。 5.リーダーのパーソナリティ次元と部下のモラールの関係に及ぼす職務特性のモデレーター効果は, リーダーシップ行動と部下のモラールに及ぼす職務特性のそれよりも大きいことが示された。