咀嚼活動において, 食品を切断・破砕するさいに必要と感じられる, 力の大きさに対応する食品物性の測定を, テクスチュロメーターを用いて検討した.本報では, クリアランスを種々設定し, クリアランスの変動に伴うテクスチャープロフィールおよびパラメータの変化傾向を調べた.そしてテクスチュロメーター測定値と官能検査結果を比較することにより次の結果を得た. 1) クリアランスの変動に伴う食品の圧縮・破砕状態から, 食品を破砕性と非破砕性とに分類した.破砕性食品は, 破砕点以降はクリアランスを小さくしてもかたさ測定値は変化しなかった. 2) クリアランスの変動に伴うテクスチャープロフィールの変化に, プランジャーによる圧縮過多と判断することのできる変化点, すなわち第1咀嚼における2次ピークの出現, および負のピークの鋭角化がみられた.これを, クリアランス適正値の判断基準とした. 3) クリアランスの変動に伴う凝集性の変化に, 変曲点がみられた.この変曲点を, 付着性のない非破砕性食品のクリアラソス適正値の判断基準とした. 4) 異種食品を対象とする場合, 同一クリアランス (2.0mm) で測定したかたさは, 胆瞬時に食品を切断。破砕するさいに感じられる力の大きさとは対応しにくい. 5) 食品ごとに圧縮・破砕状態に応じたクリアラソスを設定することは, 異種食品間での比較を可能とし, 得られる測定値は口腔内で食品を切断・破砕するのに必要な力の大きさに対応するものと思われる.