本研究では, 「pならばqだ」と記述できるようなルール命題の前件pに順序尺度的な値や二値的な値を代入した場合に, それに対応して後件qの値がどうなるかを考える活動を「代入・対応操作」と名づけた。その上で, 学習者にそのような操作を行わせることによって, 後続の問題場面でそのルールの適用が促進されるか否かを検討した。取り上げたルールは, 冬に日本海側の, 特に新潟地方や北陸地方で雪が多い理由に関するものであった。実験1では99名の大学生を対象として, 操作群, 再生群, 統制群を設けた。説明文(3群共通)の読解後に, 操作群は呈示されたルールに即して, 諸要因(前件)の値が変化した場合の降雪量(後件)の変化について解答した。再生群はブランクを埋めることによって説明文の内容を再学習した。統制群は説明文を読むだけであった。その結果, 操作群は他の2群よりも事後の問題解決で高成績であった。実験2では91名の大学生を対象に, ルール適用を促進するためには, 実際に操作を行うことが必要なのか, それとも操作結果を記述した文章を読むだけでも効果があるかについて検討した。実験の結果, 後者を示唆する結果が得られた。