本研究では, (1) まず学校生活の諸領域が生徒関係的側面と教育指導的側面の2つの側面から捉えられるのかについて検証した。その上で, (2) これらの側面から生徒を分類し学校適応の違いを検討するとともに, (3) これらの側面と学校適応との循環的な関係について検討した。研究1では, 質問紙調査によって得られた中学生822名のデータ分析の結果, まず学校生活の諸領域が生徒関係的側面(友人関係, クラスへの意識, 他学年との関係)と教育指導的側面(教師との関係, 学業への意欲, 進路意識, 校則への意識)の2つの側面から捉えられることが示された。次に, 生徒関係的側面・教育指導的側面のどちらか一方の側面の得点が高かった生徒は, その側面が学校への心理的適応の支えになっており, 社会的適応についても部分的に支えていることが示された。研究2では, 中学生338名の縦断データ(1学期と3学期に同一の質問紙を実施)の分析から, 生徒関係的側面・教育指導的側面と学校適応の循環的な関係が示唆された。そこからは, それぞれの側面が学校適応に及ぼす影響の違いだけでなく, 学校適応がその後の両側面に与える影響についても示された。