学級規模, 学習集団規模, 児童生徒—教師比の問題は教育政策上大きな関心が寄せられている問題であり, 諸外国では教育心理学をはじめとした教育に関係する様々な学問領域における知見の蓄積と, それらの政策への反映が見られる。しかし, 日本の教育心理学においては, これらの問題について十分に論じられてきたとはいえない。この展望論文では, 児童生徒の学習行動や個人差とそれらの変化を研究対象の一つとしている教育心理学においてこそ, 学級規模等の研究に取り組む必要があることを議論する。そのために, 日本における学級規模等の縮小を目的とした政策の展開を概観し, 国内外の学級規模等に関する研究のうち, 特に児童生徒に与える影響を検討した研究の動向をまとめ, 日本の学校の特質を考慮すると諸外国の知見の日本における適用可能性が低いことを指摘する。そのうえで, 望ましい学級規模や学習集団編制の在り方の検討材料となり, また指針を示しうる教育心理学的研究を実現するための着眼点を提示し, 今後取り組まれるべき研究課題を展望する。