本研究では, 学習者の保持する意味理解志向に着目しながら, 予習時の質問生成への介入および質問に対する解答作成の効果について検討を行った。中学2年生87名を対象とした5日間の歴史の実験授業を実施し, 予習時に自由に質問を生成する群(自由質問群)と, 質問生成に介入を行う群(質問介入群), 質問生成に介入を行った上で解答を作成する群(質問介入+解答作成群)の3条件を設定した。本研究の結果, 質問の生成の仕方に介入を行うことで, 意味理解志向の低い学習者の質問がより高次な内容を問う質問へと変容し, 授業では質問に関連する情報のメモが増加することが示された。また, 生成した質問に対して解答作成を行うことで, 授業での情報の比較や統合処理が促され, 授業理解が促進されることが示唆された。