某県の高校入学者の女子について,入学試験,入学時の知能検査結果,および入学後の学業成績間の相関を求めたところ,入試と学業の相関がきわめて高く,また学業成績は学年がすすんでもあまり相対的位置をかえないにもかかわらず,知能と成績との相関は意外に低く,しかも学年のすすむにつれて低下の傾向を示した。 このことは入学後の成績の予言には入試のもつ重みはきわめて高いが,知能の重みは無視できるほど低いことと,学業成績は年とともに知能の因子を含む割合が減少する傾向のあることを示している。 この点,大学入学のときの学科試験や進学適性検査のもつ意味といちじるしく異なる。なぜなら大学の場合はこれら2つの変数は入学に適さないものを落すという意味はあるかもしれないが,入学後の成績を予言することは非常に困難であるからである。