男児88名, 女児66名についての身体各部位の6年間の逐年的研究において認められた主要な結果は次のようである。 1. 本研究で測定した身体各部位の発達において, 小学入学当初の発達水準は, 学童後期の発達をかなり予言し得る。特に, 頭囲, 身長, 体重, 胸囲, 坐高, 大腿囲は予言値が高い。この予言値は入学当初体位の上・下位の者の方が中間位の者よりも高い。さらに, 各身体部位とも隣接年令間の相関値は高い。 2. 身体各部位の相互間の結果は次の3つに要約できる。 (1) 男児よりも女児の方がやや高い傾向がある。しかし, 年令による一定の変化傾向は認められない。 (2) 体型を構成している身体の縦のsize相互間の相関値, 並びに, 横のsize相互間の相関値は高い。 (3) 頭囲と各身体部位との相関が低く, 身長, 体重, 肩巾, 胸囲, 坐高と各身体部位との相関は高く, 特に身長と体重はこの傾向が顕著に認められる。このことは, 身長と体重は頭囲を除く他の身体部位の発達水準を予測し得る指標になると考えられる。 3. 因子分析の結果身体発達を規定する因子として一般因子と群因子があげられる。前者は身体のsizeの増大をもたらす因子である。後者は体長と充実の因子に区分され, 伸長因子はさらにに四肢の長さと躯幹の長さの因子に区分される。充実因子は, 体囲 (主として四肢のまわり) と散発的であるが横巾の因子にに区分される。男女差, 年令差については若干の相違が認められたに過ぎない。 4. 体型の年令的変化は, 学童期中において“ずんぐりした体型”から“細長い体型”に逐次変化して行くことが認められる。また, 体型の予言値はかなり認められるようである。 3と4の結果からStratzの伸長期と充実期の周波性は学童期にに関して疑問がある。