Goldbergのあいまい性標標のモデルから, あいまい性指標と項目の判断の困難度との間に関係があることが予想される。この関係を検証するために, 判断の困難度の測度として, 反応時間と判断の迷いについての評定を用いた。また, この困難度に関係するものとして項目の意味の受け取り方の宿人内変動をとりあげた。そして, これらのものとあいまい性指標との間に予想される次のことを実証しようとした。 (1) あいまい性指標の大きい項目は, あいまい性指標の小さい項目よりも, 反応時間が長い。 (2) あいまい性指標の大きい項目は, あいまい性指標の小さい項目よりも, 判断の迷いについての評定において, 迷いの程度が高い。 (3) あいまい性指標の大きい項目は, あいまい性指標の小さい項目よりも, 項目の意味の受け取り方が個人内において不安定であり多義的である。 材料は, 各種性格検査から選んだ100項目を1週間間隔2回大学生に実施して得られたあいまい性指標の大きい項目, 小さい項目各15項目。被験者は大学生45名。この15項目ごとに, 反応時間, 判断の迷いについての評定, 項目の意味の受け取り方の3つを2週間間隔で2回測定した。その結果, 上に述べたことはすべて支持された。 したがつて, あいまい性指標と項目の判断の困難度との関係が確かめられた。項目の判断の困難度に影響する要因についてはさらに検討を要する。