英文だけを呈示した群と, 英和を並列して同時呈示した群を, 学習効果の観点から検討すると次の2点において比較できる。 (1) 試行数においてはFries文型, Hornby文型のどちらにおいても有意差がみられた。すなわち10回呈示が5回呈示よりも有意な学習効果をあらわしている。 (2) 呈示法についてはHornby文型の場合, 10試行においては英群と英和群に有意な差はみられなかった。5試行においては英群, 英和群に有意差はないが平均点において男女とも英和群が英群より優れた効果をみせている。Fries文型の場合, 10試行群においては統計的には英群, 英和群の両群の間に有意差はみられなかった。平均点において男女合計の場合は英群がよい結果をみせている。なお性差については女子が男子よりも英群においてまさっている。英群のような教授法の観点では, この年令の女子には男子よりも, よい成果をあげるものといえよう。 (3) 困難度水準によって正答率がどう違ってくるかということを高校生の場合でみると, Fries文型においては10秒5試行の場合は, 困難度水準低, 中, 高における (F),(8) 文型で英和群がよい成績を示している。Hornby文型においては10秒10試行において困難度水準中の (10) 文型の場合英群がすぐれているが, 有意水準10%で統計的には積極的には有意とはいいがたい。有意差のみられたのは困難度高の (F) 文型のみである。困難度水準が比較的高い場合は, 試行数には無関係に英和群が英群よりも, よい成績を示すことが認められた。困難度水準高のところにおいては, 3問題とも0.1%水準にて英和群に有意差がみられた。これは回数の少ないほど英和群に有意差がみられたということもできよう。試行回数が多くなるとその差が多少縮少するということもいえよう。 (4) 誤りの傾向としては, 日本語的語順からくる誘引, 視覚的要因の錯誤, 複雑より簡略化の要因, 使いなれた文型に接近しようとする傾向などの諸要因が認められた。これらの誤りの傾向を防止することにより, より指導効果をあげることができると信ずる。