(1) 聴覚的に英文だけを呈示したのと, 英語と日本語を併列して呈示したのといずれかが効果的であるか把持の程度を分析する。また同じ条件で5試行と10試行といずれが効果的であるかを比較検討する。 (2) 対象は, 中学生, 高校生, 短大生などで材料はHornby, Friesの文型を基礎にした困難度, 音節, 語数などを調整したものである。呈示の順序は(1)H1-F1-Hornby, Fries文型の英和呈示10試行,(2)H2-F2-Hornby, Fries文型の英文呈示10試行,(3)H3-F3-Hornby, Fries文型の英和呈示5試行,(4)H4-FHornby, Fries文型の英文呈示5試行, なお被験者は4 組にわかれ分散分析の結果等質であることが証明された。結果は次の通り。 (3) 中学生を対象にした両文型における英和群,英群の再生得点をみると10試行群においてはHornby文型 Fries文型の両方において有意差がみられ英和群がすぐれていた。男子の場合は1%の有意水準で英和群がすぐれ, 男女計において1%の有意水準で英和群がすぐれている。つぎに5試行群においては, Hornby,Friesの文型では1%の有意水準で有意差が認められ, 英和群がすぐれている。男女計においても同じように英和群がすぐれている。 (4) 高校生を対象にした結果をみるとHornby文型10 試行においては男子は0.1%の有意水準で英和群がすぐれている。女子の場合も同じ有意水準で男女計においても0.1%の有意水準で英和群がすぐれていることが認められた。5試行においては, 男女とも0.1%の有意水準で英和群がすぐれていることが認められた。Fries文型においては男女計でも2%の有意水準で英和群がすぐれていることが認められた。 (5) ある一定期間を経て後の把持についての比較は, Hornbyの文型においては英和群において差はみられなかったが英群においては0.1%水準の危険率で有意差がみられた。英和群の方が英群に比して把持の程度が高いということがいえよう。Friesの文型においても英和群, 英群とも1回と2回の平均点間において統計的に有意差がみられた。これはF文型の場合にも平均点では英和群がよいといえよう。 (6) H文型, F文型の難易度 H文型とF文型の難易度は異なるのであろうかという問題を解決するために, 両問題を高1, 高2年に実施してみたところ, 両文型にかなり高い相関がみられた。それで, これらの両文型は類似性があると思われる。 〈付記〉: この研究は昭和41年度文部省研究助成金による研究の一部で, 教育心理学研究第15巻第4号に掲載された (その1) の継続にあたるものである。この研究の実験にあたって都立練馬高校英語教諭深沢栄陸氏の協力, ならびに実験実施たあたっては中・高の英語担当各教諭に御協力を頂いた。原稿については教大辰野千寿教授に助言を得, その他整理には法務技官高橋英司氏, 英文録音にはミス・アッシュ (清泉女子大講師) に協力を頂いた。稿をおわるにあたり衷心より感謝の意を表する。