言語強化の5つの組合わせ, すなわちRW, RN, NWおよびNの意味をあらかじめ教示しておくRNwとNrW, の弁別学習におよぼす効果を幼児について調べ, さらに誤り要因分析をおこない, 松田・松田 ((1167, 1998) の児童の結果と比較した。 その結果は次のようであった。 1. 習得水準に達するまでの試行数は, RW群で最も多い傾向があり, 学習曲線ではRNwが劣り, RN炉勝れる傾向がみられた。これは, むしろ児童の結果の逆であった。 2. 直前の試行の正誤に無関係な, 位置に関するAlternationは, すべての群において, 位置に関するRepetitionより強く, 最も強い誤り要因であった。児童では, RW, RNw, NrWの3群はこの誤り要因からまぬがれていた。したがって幼児では, 反応の正誤の知識が問題解決の方向に十分利用されていないと考えられた。 3. 直前の試行の正誤にもとつく, 位置に関するWinstay-lose-shiftの誤り要因は, RNwで最も強く, RNで最も弱かった。位置に関するLose-stay-win-shiftにっいては5群間に差はなかった。したがって幼児では, 反応の正誤の知識は表面的に利用されかえって成績を悪くするように思われた。Nは本来正の強化値を持っていると思われるから, 反応の誤りの知識にかけるRN群が最も成績がよくなったと考えられた。 このような情報処理能力の他に, 幼児の未発達な性格を考慮する必要があるかもしれないことが考察された。