本研究の目的は, 図形認知において精神年令を単位とした精薄児は, 生活年令を単位とした普通児に比較して, どの程度の遅滞と促進を示すかを研究することにあった。課題は, 菱形の模写, 類同視による方向認知, 図形分節 (重なり事物図形, 重なり幾何学図形, 埋れた図形) である。精薄児の精神年令は, 5才ないし6才である。普通児の生活年令は, 4才から8才にまたがっている。普通児の結果は, 筆者の前諸研究からのものである。 (1) 菱形模写のユークリッド表現において精薄児MA6才は, 普通児CA5才よりも明らかにすぐれている。 (2) 図形類同視における方向認知において精薄児MA6才は, 普通児CA6才よりも明らかな劣りが, そして, さらに普通児CA5才よりも劣りの傾向がある。 (3) 図形分節における重なりの事物図形において精薄児MA5才は, 普通児CA5才よりも劣り, 普通児CA4才よりもすぐれている傾向が認められる。重なりの幾何学図形において精薄児MA5才は, 普通児CA5才よりも明らかな劣りがあり, 普通児CA4才との間に差がない。埋れた図形において精薄児MA5才は, 普通児CA5才, CA4才よりも明らかな劣りが見出される。