本研究の目的は, 正と負の強化を与えることによって, また, 前もって強化に対する動機づけを高める教示を与えることによって, 言語条件づけが促進されるだろうという予想を検討することであった。小学校5年生の男女90名が5つの実験条件のうちのいずれかへわりあてられた。これらの条件は, 動機づけを高めて正と負の強化を与える場合 (MRW), 同様にして正の強化のみを与える場合 (MR), 動機づけを高めず正と負の強化を与える場合 (RW), 同様にして正の強化のみを与える場合 (R), および何も強化を与えない場合 (C) を含んでいる。課題はTaffel型で, 80枚のカードを使用した。各カードには4つの人称名詞と1つの動詞が書かれている。最初の20試行での出現率によって各被験者の規準反応が決定され, 残る60試行で強化を与えられた。 おもな結果は,(a) 正と負の強化を与えた場合と, 動機づけを高めて正の強化のみを与えた場合の成績がよい傾向がみられたこと,(b) 意識性のあった被験者の成績がすぐれていたことである。これらの結果にもとついて, 動機づけの教示の促進的効果と妨害的効果, 意識性と言語条件づけとの関係などが議論された。