本研究は, 刺激の関連次元が学習規準到達試行数におよぼす効果と各下位問題における正反応率を検討することによって, 弁別学習のRSとNRSを発達的な観点かち検討するために行なわれた。その際, 関連次元の違いによって学習成績が異なり, とくに年少児ではその差が大きいことが予想された。さらに各下位問題の正反応率においては, 年少児と年長児や成人では学習様式の違いによって異なるパターンを示すものと考えられた。これらの分析から, Kendler & Kendler (1962) の仮説の検討をふくめて, 弁別移行学習と発達との関係を考察することを目的とした。 幼稚園児, 小学校2年生, 小学校5年生および大学生を被験者とし, 刺激の関連次元として形および面積の等分割, それぞれの刺激価として円と長方形部よび1/4と1/6からなる2次元2価の刺激対を用いて同時弁別学習実験が行なわれた。その結果., 刺激の関連次元はRSやNRSの学習成績に大きな影響をおよぼすこと, とくに幼児や小学校2年生にとって, 等分割が関連次元である場合には学習がかなり困難になるという傾向が認められた。さらに考察の参考とするため, 移行後の各刺激対の下位問題分析が行なわれた。