本研究は単位の同一性概念に関するもので, 概念の欠如がすでに確められている長さ以外の重さ, 液量の領域においても概念の欠如がみられるかどうか, それらの領域における単位の同一性概念の獲得にずれがみられるかどうかを明らかにする目的でなされた。 被験児は小学1年から4年生までの各学年20名, 計80 名であり, 各領域における単位の同一性概念テストが個別に実施された。長さのテストは, あらかじめ長さが確認された2本のテープをn1個と刀2個とに分割し, そのもとで2本のテープの長さの判断が求められた。同様に, 重さのテストは, 2つの粘土のボールが刀・個と刀2 個の小ボールに分けられる事態で, 液量のテストは, 2 つのビーカーの水がn1個とn2個の小コップに分けられる事態で, それぞれの量の相等または大小の判断が求められた。 結果は, 単位の同一性概念の欠如は長さ以外の重さ, 液量の領域にも見いだされ, しかもその欠如の量は長さ→重さ→液量の順序におおくなる傾向がみられた。概念の獲得のずれも確認され, 獲得の時期は長さが最もはやく, 重さが第2番目に, 液量が最もおそく獲得される傾向が見いだされた。