実験Iでは先行学習の達成の速さによって, 被験児を速習児群と遅習児群に分け, MAの変化と逆転移行の関連を精神薄弱児群および同MA段階の正常児群について比較検討した。実験IIでは精神薄弱の被験児群内で, MAの変化に伴う過剰訓練逆転効果を検討した。 結果の大筋は以下の通りである。 1.精神薄弱児, 正常児ともに速習児群は遅習児群に比べ逆転移行が速い。 2.精神薄弱児群は同MA段階の正常児群より逆転移行が遅く, このことはMA7-9才よりMA5-6才段階において顕著にみられる。 3.精神薄弱児群の逆転移行の速さは概して, 同MAの正常児群に比較して2-3才程度遅れる。 4.先行学習での過剰訓練はMA5-6才段階において逆転移行に有意な効果をもつが, MA7-8才段階ではこの効果がみられない。 以上の結果が弁別学習の手がかり機制との関連で考察された。