観察学習における認知論のkaganとkohlbergの2つの立場に, Mの行動のOからのズレ程度を加えて, 理論的枠組みの検証を行う。被験者は幼稚園男児 (平均年齢5.5才) で15名の統制群と12名より成る4実験群, 即ち親和・ズレ大群, 親和・ズレ小群, 非親和・ズレ大群, 非親和・ズレ小群に分けられた。親和群は, 実験前3日間, M (男子大学院生) との間に相互作用により親和関係を形成させた (TABLE 1)。課題は2つのおもちゃ (ブロック, ネンド) の選択行動である。この2つのおもちゃは, 被験者に共によく知られているものである。Oはplay roomに連れてこられ, おもちゃをはさんでMと向かいあって座らせられる。5分間のMの行動提示後, Mは部屋を出てゆき, その後10分間のOの行動 (各々のおもちゃに触わる時間, 作った作品etc) を記録した。結果は仮説を支持し, ズレが小群では親和群・非親和群共に統制群間に有意差がみられた。しかし, ズレ大群においては, 親和群と統制群, 及び, 親和群と非親和群間に有意差がみられたが, 非親和群と統制群間には有意差がなかった (TABLE 2, FIG. 1)。