本研究は, 幼児の認知様式の発達的特徴を明らかにすることを目的として, 幼児の直線構成におよぼす図形の輪郭線の効果を検討した。被験者は, 4才児, 5才児, 7才児であり, 正方形,(正方形の) 回転形, 円形を描いたチェッカー・ボードの上で直線を構成するように求められた。主な結果は, 以下のようであった。 (1) 4才児の正方形ボード, 回転形ボードにおる対角線の構成において, 図形の輪郭線の影響を受けた誤りが, 著しく認められた。 (2)5才児では, 円形ボードと比較した場合, 正方形のように図形の輪郭線に「カド」のような手がかりのあるほうが, 傾斜方向の構成は容易であった。 3) 4才児および5才児の円形ボードにおける誤りには, 出発点から間違っている構成が著しく認められたので, 正方形ボード, 回転形ボードにおける誤りとは異なった性質のものであるという考察がなされた。 (4) 7才児になると直線構成は容易になり, いかなる課題においても80%以上の正答率を示した。