本研究は, 提示順序が引き起こす体制化を「系列依存的体制化」としてとらえ, 検討した。 被験者 (大学生・大学院生) は,「1+1提示法」(Mandler & Dean 1969) によって, 項日を提示され自由再生を求められた。この方法は, 各試行で1項日のみを追加的に提示し, それまでに提示された全項目の自由再生を被験者に求めるものである。 今回用いたすべての条件 (第1実験,(1) 直後再生-有意味綴り,(2) 直後再生-無意味綴り,(3) 遅延再生-有意味綴り,(4) 遅延再生-無意味綴り, 第II実験,(1) 20秒遅延,(2) 10秒ディストラクター) に,「系列依存的体制化」が存在した。またリハーサル・チャンスが与えられた場合, 有意味綴り, 無意味綴りに関係なく,「系列依存的体制化」は拡大した。 最後に, 体制化概念における「系列依存的体制化」の位置づけを検討した。そこでは, 2次的体制化を主観的体制化と客観的体制化に区別し,「系列依存的体制化」は群化と共に, 客観的体制化の下位分類を構成すると考えた。