本研究は, 児童の道徳的判断におけるモデリングの効果を検討するためになされた。その結果,(1) 変化させる方向によって効果が異なる,(2) 被験者の意図の認知レベールによって効果が異なることが見出された。そして,(3) 意図を認知していない被験者に対し, 意図に着目しやすい実験状況を設定すれば, モデリングの効果が大きくなることが示された。 これらの結果から, 児童の道徳的判断には意図の認知という要因が重要であると考えられた。そして, 今後, 児童の道徳的判断を研究する際には, 被験者の意図の認知レベルを考慮していく必要のあることが述べられた。