本研究では, 幼児の分類行動におよぼす上位・下位概念名辞の教示効果を, 第1実験では上位概念名辞, 下位概念名辞を各々教示した場合について, 第2実験では上位概念名辞, 下位概念名辞の両方を教示した場合について検討した。被験者は4~7才児であり, 上位概念としては「動物」と「食べ物」, 下位概念としては「鳥」と「虫」, および「果物」と「野菜」を用いた。主な結果は以下のようであった。 (1) 第1実験によつて, 上位概念名辞の教示は, 5才児および6才児の概念的分類を促進したが, 下位概念名辞の教示は, 5才児にのみ効果的であることが知られた。また, 7才児には6才児とほぼ同様の傾向が認められた。 (2) 第2実験によつて, 4才児および5才児では上位概念名辞, 下位概念名辞の両方の教示が与えられることによって, 上位概念による分類のみ促進されることが知られた。