(1) 立幅跳びにおける目標距離と跳躍距離との間には, 年齢毎に特徴的な関係が見られた。そこから, 年少児では目標距離と跳躍距離は明確な関連を持たないこと, 年中児では前回の跳躍結果とは別に目標を表現しやすいがその目標の高低に応じて跳躍距離は変化しやすいこと, 年長児では目標とパフォーマンスとが相互連関し始めていることが考察された。 (2) 偽りの跳躍結果の教示により, 幼児の表現する目標に変化を与え実際の跳躍にも影響を及ぼし得た。しかも, 今回の操作は年中児において最も顕著な効果を持った。このことから, 5歳前後では, 目標が変化しやすくそれに応じて運動も動揺しやすいと考えられた。 (3) 視覚遮断の効果は, 幼児期全般に大きいがとりわけ年少児には著しく, 年中児との差異を明瞭に示した。このことから, 4歳から5歳にかけて運動調整様式が視覚系中心から心像中心へと移行することが推測された。