要約作業の機能について, 日常的な文章を用い, 基礎的な資料を得ることを試みた。文章は聴覚提示し, 理解度のテストは真偽判断問題を用いた。真偽判断問題は各段落ごとの内容に関するものと, 複数の段落の内容に関わるものとがあった。実験Iで, できあいの要約文を教示される条件と, 要約文を自分で作成する条件を設けたところ, 特に複数の段落に関わるテストにおいて後者が優位であった。要約文の教示については, 実験IIでその時期を操作したがテストの成績は変わらなかった。また実験IIIでは, 文章内容の重要箇所を選択的に再生する条件を設けたが, 要約作業を行う条件には及ばなかった。以上の結果から, 他の方法に較べて, 要約作業が文章内容の段落問の関係を把握するのに効果があることが示唆された。そしてその主たる要因が文章内容の重要箇所から, まとまりのある文章をつくりあげる過程にあると考えた。