本研究は学級集団の社会心理的構造と, 学級雰囲気および成員のモラールとの関係を, 発達段階を考慮しつつ検討することを目的とした。まず研究1では, 学級集団の構造的差異を測定するスケールを作成した。学級集団において重要な構造次元としてとりあげられたのは, 受容, 勢力, 親和性, 統制, 活動性の次元であった。 研究IIでは, 最初にこれら5次元間の関係が検討された。その結果, 受容の次元と勢力の次元の間に負の有意な関係が見出された。また, 4年では親和性と活動性の次元にも有意な相関がみられた。次に, 各次元と学級雰囲気との関係が検討された。学級雰囲気のいかなる側面かたより各次元の重要度は異なっていたが, 全体雰囲気に対しては, 4年では統制と受容が, 6年では活動性と受容が, 重要な次元であった。構造次元とモラールの各側面との関係では, 4年では統制の次元に多くの相意な相関が得られた。これに対し6年では特定の次元に有意な相関が集中することはなかった。 以上得られた主な結果につき, 実践的観点および発達的観点から考察を行った。