本研究では, 個人の資質と大学の専門分野での適応との関係を明らかにすること, 特に文科系・理科系別に, これらの特徴を明らかにすることを目的とした。全国の大学生2, 201名を対象として, 個人の資質, すなわち「表現力・発想力」「自己統制力」などと, 適応度, すなわち「能力発揮」「興味・性格の適合」「自己の生き方への満足」との関係における因果モデルを構成し, その妥当性を, 共分散構造分析を用いて検討した。その結果, a) 能力発揮という意味での適応には表現力・発想力を備えていることが望ましいこと, b) 興味・性格の適合には自己統制力を備えていることが望ましいこと, c) 興味・性格の適合は, また自己の生き方への満足感を導くこと, の3点が明らかになった。更に, 文科系・理科系において望ましいとされる資質が異なることが示唆された。