本研究は, 218名の児童を対象とした小2と小3時点 (1年目) から小4と小5時点 (3年目) にわたる縦断的研究である。1年目にソシオメトリック指名法, 評定法および行動特徴に関する仲間知覚指名法を実施し, 2年後の3年目はこれらの調査に加えて, 孤独感の自己評定法を実施した。両測定時点のデータが揃っている子ども218名を1年目と3年目のソシオメトリック指名法の結果に基づいて5つの地位群のいずれかに分類した。その後, 1年目と3年目の地位群を組み合わせたところ, 215名の子どもは1 年目から3年目にかけて同一地位を維持した4つの地位維持群か, あるいは地位が変動した14の地位変動群のいずれかに分類された。AA群を比較対照群として他の群と比較した結果, 孤独感得点ではRR 群やRN群が有意に多く, PP群が有意に少なかった。行動特徴については, 3つの仲間知覚尺度得点別に3年目から1年目を減算した変化得点に基づいて, AA群と他の群を比較した。その結果, 攻撃性はPR群, AR群, AC群, NR群の4群が有意に増加し, RP群とRN群の2群が有意に減少していた。社会的コンピタンスはNP群が有意に増加し, RR群, PR群, PN群, AR群の4群が有意に減少していた。なお, 引っ込み思案はNN群やNR群が有意に増加していた。これらの結果は, 社会的コンピタンスのような行動特徴よりも攻撃的な行動特徴が仲間から知覚されやすいことを示唆する。また, これらの結果は攻撃性が社会的コンピタンスよりも地位の変動と関連しやすいことを実証し, 攻撃性を変容させることが子どもの仲間関係や地位を改善するのに有効であることを示唆する。